新年あけましておめでとうございます。旧年中は当院をご利用いただきましてありがとうございます。
昨年一年を振り返りますと、世界的に新しい火種がたくさん生まれた年でした。シリアやイラクの内紛をきっかけにイスラム国という武力集団が突如中東に出現し、アメリカが空爆を開始するという新たな中東の紛争が勃発しました。また、アフリカで時々小規模な流行がみられるも世界的にはほとんど関心を抱かれていなかったエボラ出血熱が、ギニア・シエラレオネ・リベリアを中心に大流行し、アメリカ大陸でも患者が確認され治療に当たった医療従事者に感染するなど世界的な問題となりました。また、欧州では、ロシアがクリミア半島を併合する事態が発生しウクライナの今後の行方が注目されています。
国内では、今年も大きな自然災害が多発し、特に御嶽山の突然の噴火や広島市の大規模土砂災害では多くの犠牲者が出ました。ゴーストライター、STAP細胞、政務活動費等、数多くの疑惑に対する記者会見も注目を浴びました。
政治の世界では、年末の総選挙で自民党が大勝しましたが、集団的自衛権や原発再稼働、TPPの締結の問題など今後に課題を抱えたままとなりました。経済の面でもアベノミクスで株価は跳ね上がりましたが、円安による輸入原料の値上がりや消費税の8%への増税により国民の多くが景気の回復を実感するまでにはまだ時間を要するようです。昨年は、2025年問題、2040年問題と日本の近未来が危惧される事実が注目されました。経済面から日本の将来を考えると長期債務が1000兆を超える状態で、財政再建は喫緊の課題です。少子高齢化の進行とともに今後益々増加する社会保障費の伸びをおさえるため、国は医療・介護の抑制策として、“病院から在宅へ、施設から地域へ”をスローガンとしていわゆる地域包括ケアシステムを推し進めようとしています。この政策の正否は別として、このシステムが、「病院と同じ医療が在宅で受けられる」「施設にいるのと同様のサービスが住宅で受けられる」との誤解が国民に伝わるのではないかとの懸念があります。行政は、社会保障費の伸びの抑制で発生するネガティブな部分をもっと国民に説明する義務があると思います。
当院は、昨年、新しく整形外科の原医師が赴任しまして、外来診療、手術とも充実することができました。藤川医師を中心としたクララツアーは昨年で3回目を迎え、リウマチ患者さんがベルギー・オランダの旅を楽しむお手伝いができました。10月には、元広島カープの200勝投手北別府学氏を招いての講演会を開いたところ、地域の多くの皆様に参加していただきました。また、当院ボランティアの会の方々を中心に、院内で落語、ティーパーティなどの多くの行事を開催していただきました。
今年は、電子カルテの導入、在宅医療部門の拡充など新しい課題に取り組みたいと思います。皆様にとっては今年が素晴らしい有意義な一年になることを祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。今年も明野中央病院をどうぞ宜しくお願いいたします。