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新年のご挨拶 2016

img_kinoshita.jpg院長 木下 昭生

新年明けましておめでとうございます。旧年中は明野中央病院をご利用いただきましてありがとうございます。心より御礼申し上げます。

振り返りますと昨年は、“平穏、安心とは何か”ということが問われた一年ではなかったかと思います。イスラム国に人質になっていた日本人2人が残忍な方法で殺害されました。イスラム国によって欧米の人質が同様な方法で殺害されたことは報道されていましたが、地理的にも遠く、武力や宗教観などで直接利害の対立がない日本人が犠牲になるとは驚愕の事件でした。イスラム国はさらにロシア旅客機の爆発、130人が死亡したパリの同時多発テロ等を起こし、世界を恐怖に陥れました。それに伴うシリアの内戦激化のためヨーロッパへの難民が急増して社会問題になり、中東の小国の内戦が世界中の国に影響を与えるという事実を目のあたりにしました。いわゆるグローバル化により世界は一層近くなり、一国の国内情勢が多くの国に影響をもたらすことが再認識されました。そういう国際状況もあり、わが国では、連日国会議事堂周辺で反対デモが繰り返された中で安全保障関連法が成立しました。うれしいニュースとしては、「イベルメクチン」の北里大大村智教授と「ニュートリノ」の梶田隆章東京大学宇宙線研究所長がノーベル賞を受賞されました。ラグビーワールドカップでは、過去1勝しかしていない日本が優勝の常連国南アフリカを破るという奇跡を起こしました。これは、選手がエディ・ジョーンズヘッドコーチを信じ独自の練習を繰り返し、自分を信じ安心して試合に臨んだ結果といわれています。

日本は現在大変な財政赤字を抱え、一方少子高齢化が急ピッチで進んでいます。そのため安倍政権は、経済の回復を第一と考え社会保障費の増加に歯止めをかけようと新三本の矢として「強い経済」「子育て支援」「介護離職ゼロ」を打ち立てました。働ける女性を増やし、親の介護のために職を離れる社会人を減らし、少しでも経済にプラスになればとの思惑が見てとれます。しかし、たとえ保育園や介護施設を増加させても、そこで働く保育士や介護職が集まらない現状では‘絵に描いた餅ならぬ矢’にしか見えません。また、介護施設の増加は現在国が推進している地域包括ケアシステムにある意味逆行する政策で、その整合性も問われるところです。医療の世界では、昨年10月から院内の予期せぬ死亡事故を対象に医療事故調査制度も始まりました。この制度が医療側、患者側から本当に信頼できるものになるかは今後の課題です。また、地域の将来推計された患者数をもとに二次医療圏ごとに病床の必要量を設定した地域医療構想会議がスタートしましたが、国が行う単なる地方病床の切り捨てに終わらないか十分な論議が必要と思います。

さて、当院は、昨年は麻酔科の常勤として高谷医師を迎え手術部の更なる充実とペインクリニックの開設を、また、在宅部門では訪問看護の再開を行いました。今年は、昨年より開始している病院増改築工事による新病棟の完成、電子カルテの導入などを予定しており、新しい明野中央病院としてスタートを切りたいと考えています。皆様にとって今年が素晴らしい有意義な一年になることを祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。

 

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