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Hさん(91歳女性)は、ご自宅の台所で転倒し、左の肋骨、股関節、腰部痛の症状が出ました。「トイレに行けないので病院に迷惑をかけたくない」と病院受診をしばらく遠慮されており、ご主人の介護を受けながら自宅のベッドで2週間過ごしましたが、ご家族やケアマネージャーに説得されて当院を受診されました。左大腿骨転子部を骨折していたため緊急入院となり、翌日に手術を行い、入院3日目から回復期リハビリテーション病棟でのリハビリが始まりました。しかし、心不全や喘息などの基礎疾患に加え中等度の栄養不良もあり、リハビリをしても再び歩けるようになるかどうかという厳しい状況でした。リハビリ開始後も、術後の痛みや心不全による息苦しさ、繰り返す発熱、食欲不振などが重なり、歩行訓練へなかなか移行できない状態が続きました。

ご家族も大変心配されていましたが、コロナウイルス対策による面会制限もあり、病院での直接の面会もできず、ご本人を励ますことも難しい状況でした。しかし、当院スタッフがスマートフォンのビデオ通話によるオンライン面会を提案したところ、ご家族もこれを積極的に活用され、Hさんもタブレット越しにご家族や親戚の皆さんと幾度も面会され、励ましのメッセージを受けて、「一人で歩いてトイレに行けるようになりたいね」と前向きな会話が増えていきました。離れていても、オンラインでも、気持ちは通じたようです。

身体的には厳しい状態ではありましたが、タブレットから送られてくるご家族の笑顔や応援を力に変えて意欲的にリハビリに取り組まれるようになりました。その結果、1ヶ月後には平行棒の中を再び歩けるようになり、主治医やスタッフもその驚異的な回復力に驚かされています。どんな形でも励ましやサポートを続けてきたご家族の愛情と、高齢の小さな体でしっかりと前を見て歩くHさんの姿から元気と勇気をいただき、コロナ禍の閉塞した気持ちがスッと晴れていくように感じました。(地域医療連携室:S)

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