高度専門医療

腰椎椎間板ヘルニアの新たな治療法　椎間板内酵素注入療法

腰椎椎間板ヘルニアとは？

人の背骨は椎骨という骨がいくつも積み重なってできています。椎骨と椎骨の間には椎間板があり、クッションの役割を果たしています。椎間板の中にはゼリー状の髄核があり、周りを線維輪が囲んでいます。この背骨を支える椎間板に、日常生活で何らかの負担がかかり、その影響で線維輪に亀裂が生じ、中の髄核が飛び出すことがあります。この飛び出した部分が「ヘルニア」です。このヘルニアが近くを通る神経を圧迫して痛みやしびれなどを引き起こすのが、「腰椎椎間板ヘルニア」です。
主な症状は、足の痛み、しびれ、筋肉の麻痺、腰痛等であり、重症の場合には、尿が出にくいなどの排尿障害が起こることもあります。

腰椎椎間板ヘルニアの治療法

腰椎椎間板ヘルニアの治療法としては、痛みを抑えるための鎮痛薬や湿布薬、腰への負担を減らすコルセットなどを使う保存療法があります。保存療法で効果がみられない場合に他の治療法を検討します。保存療法の次に行なわれる治療法としては、従来は多くの場合手術療法となっていましたが、「椎間板内酵素注入療法」の登場により、治療の選択肢が広がりました。これにより、手術をしなくても良い治療効果が得られる可能性が出てきました。

ヘルニコア（椎間板内酵素注入療法）

椎間板内酵素注入療法は、ヘルニコアという注射薬を使用します。髄核には保水成分（プロテオグリカン）が豊富にあり、水分で膨らんだ状態のヘルニアが飛び出して神経を圧迫しています。この保水成分を分解する酵素を含むヘルニコアを髄核に直接注入すると、髄核内の水分が適度に減り、その結果、神経への圧迫が弱まり、痛みやしびれなどの症状の改善が期待されると考えられています。当院では、原則として、手術室にて注射を行なっていますが、治療後しばらく安静にして、副作用等がないことを確認して問題がなければ帰宅できます。なお、ヘルニコアの副作用として、一過性の腰痛や下肢痛、発疹、発熱、頭痛などが報告されています。また、この治療は日本脊椎脊髄病学会指導医が在籍する医療機関でなければ行なえないなどの制約があります。詳しくは整形外科専門医にご相談ください。

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